教室の後ろの入り口からいかにもな黒ずくめな男達が入ってきた。黒いスーツにサングラス。よくこんな人たちが入ってこれたよな、と、一瞬考えるが、よくみると、皆、来客用のスリッパを履いている。入り口をすばやく数人が固める。

 楽しい放課後の雰囲気が、一気に氷点下まで下がった。

 教室のなかに入ってきた黒ずくめの一人が、言った。

「大野陽芽さん、おられますか?」

 視線が、こっちに突き刺さる。・・・・・・え?何??なにですかこれは????

「はい・・・・・・わたしですけど・・・・・・」

 ゆっくりゆっくりわたしは手を上げた。なに?何?親父の借金取り??????

「ちょっと来ていただけませんか?」

 黒い人の一人はそういってサングラスをはずす。・・・・・・普通の人だった。

「お父様の、大野正成様の許可は取っております」

「親父の?!」

 親父が絡んでいるのか・・・・・・。これは借金取りの可能性が高い。とりあえず・・・・・・逃げられない。

「クラスの皆さんが、見ておられますよ」

  それは、なんかあったら全員殺す、というように聞こえた。

「・・・・・・わかりました」

 わたしはうなずいた。かばんを持つ。

「どこに行けばいいのですか?」

「ひめっ!」

 恭子に目で合図する。黙ってて、と。

「素直なお嬢様だ。では、われわれと一緒に来ていただきましょう・・・・・・」

彼は大仰に一礼した。

 

 この瞬間から、わたしの普通な日常は、ぶち壊れてしまった。

 親父のばかたれーーーー!!!

 

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