慌ててわたしはブレーキをかけた。

思いっきり力いっぱい走ってきたせいで、よろける。

車が、突っ込む・・・・・・?

「陽芽!」

わたしは後ろに引っ張られる。そのまましりもち。

車がかすめるようにして去っていく。

「大丈夫か大野陽芽?」

「・・・・・・いてってってって・・・・・・」

見上げると、そこに、怪しい変人最低災厄の婚約者先輩が立っていた。

「あ、あ、あ」

なぜだ、なぜだ自分。なんかパニくってる。

「大丈夫そうだな」

「・・・・・・ありがとう、ございます」

この最低災厄変人先輩が引っ張ってくれなかったら、わたしは落ち葉のように宙を舞ってたのかもしれない。

いまさらながら、怖くなってくる・・・・・・。

「悪いが大野、事は急速に進んでいる」

変人最悪最低先輩は冷静な感じで上から声を降らせてくる。

「とりあえず、今からオレと一緒に来てくれ。大事な話がある。・・・・・・この婚約についても、な」

そういって先輩は何処かに携帯で連絡し始めた。

「・・・・・・」

半分なきそうな気分でわたしはしゃがんだままだった。

どうなってんだ?何が起こってるんだ?なんで今の車の話から変人最悪先輩はそんなに切羽詰ったかんじになったんだ??

 

何もわからないまま、わたしは座り続けた・・・・・・。

 

次へ