狙ったかのようにこっちへ向かってくる車。

とっさの判断で彼女は前にそのまま走り抜けた。

しかし。

表現できないような音が響いて、彼女は宙に舞った。

車はそして、逃げていく。

「大丈夫か!?」

彼は駆けつけ、倒れた彼女を解放する。

「救急車を早く!」

「先生呼んでこなきゃ!」

「キャー!!」

「車のナンバー見た??」

下校途中の生徒であたりは混乱する。

「くそ」

彼は小さく呟いた。

あの車は彼女を狙っていた。

二人の婚約と、月哉の取引を知る誰かがやったことだろう。

「・・・・・・陽芽、しっかりしろ・・・・・・!」

 

月哉の声は二度と陽芽には届かなかった。

 

終わり。