冷たい感じの声が辺りに響く。

 部屋はとても落ち着いた茶系統の色で統一されていた。その部屋の真ん中に立ってこっちを向いてる人と、ソファーに座ってる人と。

「オレがあんたの婚約者の、海音寺月哉だよ」

「・・・・・・!」

立っている人が偉そうにいった。

 真直ぐな髪の毛はクセの一つも無いぐらい、綺麗だ。整った顔には負けん気が溢れている。青葉学院の制服を着た姿は、かなり、偉そうオーラをかもし出すのに一役買っていた。

 熱帯低気圧になっていたものが、突然台風にもどった。異常気象だ。怒り再燃。

「わたしはっ」

息を吸う。

「あなたと婚約したいと思ったことなんてないし、これからもありません!わたしの知らないところで勝手に決めないでください!!!」

「・・・・・・しょっぱなからそれか。礼儀もなってない」

「・・・・・・!(ムカ)」

にらみ合う。視線をそらしたほうが負けだ。負けないぞこんにゃろ!!!

「まあまあ二人とも、落ち着いて」

そんなわたしたちにわって入ったのは、ソファーに座っていた人だった。

「月哉、大野陽芽さんはまだ状況がよくわかってないみたいなんだから、そんな好戦的になったらだめだよ」

そういって偉そうヤローをたしなめ、

「大野陽芽さん、ごめんなさい。こっちこそ礼儀のなっていない兄で」

謝られた。

「い、いえ、こちらこそ。とんでもないことをしまして」

つられて謝る。

・・・・・・なんとかっこいい人だろう。服装から青葉学院の生徒だとわかる。その柔らかい髪の毛、かわいい双眸。なんという、

(好みだわ・・・・・・)

「はじめまして、僕の名前は海音寺星龍です。月哉の弟です」

「!弟さん!!」

笑顔で海音寺星龍氏は話す。

「はい。高1だから、大野さんの一つ下ですね」

「高1!」

わたしはついつい二人を見比べてしまう。兄と弟。なんという点対象!