とても優しい声だった。
部屋の中は主に茶系統の色使いで、落ち着いた雰囲気をかもし出している。その部屋の真ん中に、一人の男の人がたっていた。
「海音寺星龍です」
やわらかそうな栗色の髪の毛はくせっ毛のようで、ぴょんぴょんとなっているのが可愛らしい。服は、青葉学院の制服で、完璧に似合っていた。まるで、この人のためにあつらえたかのように、似合っていた。いや、これは着こなしているというか。
(むっちゃ好みじゃん・・・・・・!!)
こ、この人がわたしの婚約者ですかっ!!
わたしの心が、ずきゅんと、動いた。海音寺星龍君は、
「すみません、兄はもう少しでくると思います。ちょっと待ってていただけませんか?」
「は?兄??」
困ったような笑みを浮かべた。そこにすかさず東さんがフォローするように言う。
「月哉様、もう良いと思いますけれど」
その声には、やれやれ、という気持ちと、いたずらをして誰かを驚かせるような気持ちが半々、混じっていた。
「え?え?え?どういうこと、ですか?」
つーか、目の前にいるこの可愛らしいお兄さんが、婚約者じゃないのかい?
が、
「はじめまして、大野陽芽さん」
それは、
わたしの、
後ろから、
聞こえてきたわけで。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・振り返る。
「オレがあんたの婚約者である、海音寺月哉だ」
つかず離れずついてきた、ボディーガードな一人が、にやりとした笑みを浮かべて言った。
瞬間、わたしが思ったこと。
やられたーーーー!!