サイト2 プロローグ

 血を吐いた。

 こんなにも赤く、黒いものを見たのは初めてな気がした。

 体中が痛い。

 自分がどんな体勢かも分からない。

 目の中に血が入って、あたりが赤く染まっている。

 私は、どうしたのだろう。

 体中が痛いのに。頭ががんがんするのに。

 耳に入るのは歓声。

 喜びあふれるその声。

「ぐ・・・・・・」

 口の中のものを吐き出したくって、でも、空気を吸う度に体中の血が逆流して暴れだす。

「う・・・・・・」

 涙が流れた。様な気がした。感じるのは痛さのみ。

 誰か、助けて・・・・・・

 歓声が耳につく。

 何がそんなにうれしいのかわからなかった。

 ただただ苦しかった。

 

 世界は冷たい。

 

 そして、わたしはヒトリになった。

 

2006・6・26 第二版

2006・5・1 初版

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