えんぴつ

 

 机の周りを掃除機で掃除をしていたら、

 ずっこーーー

 掃除機の音が変わった。

「ん?」

 えんぴつがそこにつまっていた。

「いってぇーなてめー!」

 えんぴつはそういって、掃除機の口でじたばたした。

「早く助けろ!!!」

 えんぴつは暴れる。わたしは慌ててスイッチを切った。

 ころん

 フローリングの床にえんぴつは倒れた。そして5回転して立ち上がる。

「ふう、助かったぜぃ。それにしても、てめーのせいだな!オレをあんなところに落として忘れときやがって!」

 えんぴつは、ぱたぱたっと体中のほこりを払いながら言った。

「う・・・・・・ごめん」

 わたしは謝ることにした。机と壁の間のブラックホールには謎のほこりが盛りだくさんだ。

「お前、オレのこと覚えているか?」

「え、君のこと・・・・・・?」

 じいぃぃぃいっとわたしはこいつを見つめた。

B かきかたえんぴつ きのしたさやか

「こ、これって、小1のころの・・・・・・」

「これってゆーなこれって!!」

 えんぴつはぎゃーぎゃー騒ぎながら言った。

「オレはBの書き方えんぴつ!お前が小学校あがったころ現役バリバリだったやつの1本だ!ここまで小さくなるまで使ってくれたのはうれしいが、詰めが甘い!!」

「・・・・・・ごめん」

「けっ。オレと一緒に暮らしたことも忘れやがって、机の隙間に落としやがって。今じゃけずれもしないシャープペンシルとラブラブってか?」

「・・・・・・ごめん」

 えんぴつははなし続ける。

「物書きの基本はえんぴつからだろ?オレだって仲間だって木の間伐材からできていてごみがあんまりでないって評判なんだぜ!それにな」

「あの・・・・・・?」

 わたしは割り込んだ。

「何だ?」

「掃除の続きしたいんだけど、ごめん」

「・・・・・・あ、そうか」

 えんぴつははた、と気がついた顔をした。

「てめ、今度オレのことを忘れたら、この芯を何処かにさしてやるぜ!」

 えんぴつはそう言って、旅に出た。

 

 その後。

 

 たまにえんぴつは旅から帰ってきて机の上のえんぴつたてで寝ている。

 芯のところは丸くなっているのでよく削る。気がつけばえんぴつはちびえんぴつになってしまった。

 

終わり

 

 コメント

三年ほど前に書いたものなんで・・・・・・笑って流してください・・・・・・。

 

 

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